先日メルマガにこんなことを書きました。
お客様からのメールをシェアしたいので、ここにも書かせていただきますね。
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一年前くらいの「ゴロウデラックス」で
まだ芥川賞を受賞する前の又吉直樹さんが
太宰治の「人間失格」について、
「どこがいいんですか?」と聞かれて
こんなことを言っていました。
こんな可哀想な俺が、こんな辛い目をして、
それでも生きてきたんです、
っていうふうに読んでる人が多いんですよ。
僕はそうじゃなくて、
人間がそれぞれ持ってる痛みについての話やと思ってて。
痛みってみんなあるじゃないですか。
すごい純粋ですごい可愛くてまっとうに生きてる少女の歯の痛み。
可哀想って同情もするじゃないですか。
でも悪人の歯の痛み。
同じように歯が痛かったとしても、
そんなもんは自業自得やんけ、当たり前やって言うじゃないですか。
それは感情的にはそうやと思うんですけど、
でも、痛みっていうものはあるんですよね。
僕らはいつもなんか自分の悩みとかある時に、
もっと大変な人は世界中にいっぱいおんねんからって言って、
悩むことすら許されへんってことってよくあるじゃないですか。
必ず誰かと比較されて。
それはほんまにそうやと思うし、
自分より大変な人はいっぱいいるんですけど、
じゃあいっぱいおるからといって
自分の悩みとか痛みっていうものをなかったことにせなあかんのか?
っていうことについて書かれてるんじゃないかな
っていうふうに、
何回も読んでると、そういう別のテーマが浮かび上がってくるというか。
・・・これが私には印象的で。
今まであんまり「人間失格」を読みたいって
思ったことがなくて、読んでなかったんですけど
なんだか読んでみたくなりました。
・・・って、いまだに読んでいないんですけどね。^ ^;
もとい。
ここで言う
「自分の悩みとか痛みっていうものを
なかったことにせなあかんのか?」
ってところ。
それは、あるものはあるんだから、ないものにはできない。
そう思います。
例えば去年は戦後70年てことで、
戦争というものがいかに悲惨で大変だったかという映像を
たくさん見せられました。
「この時に比べれば今の自分はずっと幸せだ」
と思いますよね。
実際、そうだと思います。
食べるものに困っているわけでも、
命の危機にさらされているわけでもない。
選択肢なら、ずっとたくさんあるわけですし。
(にもかかわらず、選択肢はない、って思い込んでる人の方が
俄然多いですが)
でも、比較して一旦治めたところで、
気休めにすぎず、
痛みも悩みも消えるわけではありません。よね?
それはただの、抑圧だから。
見ないようにしているだけで、
あるものは、やっぱり、ある。
それを、こんなことで悩むなんて自分はダメな人間だ・・・
と自分で自分を責めたり、
さらに罪悪感を持ってしまったり。。
うぅ〜む。
逆効果!!!
それなら、
私にだって悩む権利はある!悩んだっていいんだ!思いっきり悩もう!
って、自分を許しちゃった方が、ずっといい。
まずここを受け入れないことには、
先に進みようがない。
自己受容は、許しから。
(メルマガで書いたのはここまで)
そしたらあるお客様がこんなメールをくれました。
昨日の萬夕さんのメルマガの
人間失格のお話は印象的であり、衝撃的でした。
「ああ」と。
スケールは小さくなってしまいますが、
組織の中で働いているとこの縮小版みたいなことが
結構あるように思います。
例えば、今、あの部署がんばっているんだから、
こっちの部署もがんばれとか。
今、あの人がんばっているんだから、
あなたもがんばりなさいとか。
言葉になる場合もあれば、
言葉にならなくても無言のメッセージとしてそういうのが
発せられることもありますね。
確かにそうかもしれない。
あのセクションや、あの人は特にすごいがんばっているかもしれない。
でも、だからと言って、別のセクションの人や
他の人はがんばっていないかというとそうじゃないでしょ、と。
それぞれの立場で、それぞれの領域でがんばっているでしょ、と。
そこを「認め」ず、比較で押し付けるようなことをして、
それが積もり積もってくると、組織(人間関係)としてギクシャクしてくる。
メルマガに書いてくださったのがスケールの大きな視点バージョンとすれば、
スケールの小さい、変形バージョンも
あちらこちらで起きているなと感じました。
インスピレーションをありがとうございます。
こちらこそ、ありがとうございます。^ ^
私が戦争のことなど書いてしまったものだから
「スケールの小さい」と表現されてますが、
スケールは関係ありませんよね。
こんなふうに、自分の身近なことに置き換えて
それぞれの形で受け取ってもらえたら、
と思いながら書いてますので、
何かしらのインスピレーションに繋がったなら
とてもうれしく思います。
そしてこのお客さんのメールがまた、
誰かのインスピレーションになったなら…と思い、
掲載許可をいただきました。
「比較」というものについては、
葛藤を生み出す原因とも言えるだけに、
これまた書きたいことが山ほどある
なかなかに深いテーマですけど、
今回はこの辺で…。