極楽寺の駅にて |
大好きなドラマ「続・最後から二番目の恋」が終わってしまいました。
なんとも寂しい。
前作の時から、小泉今日子さん演じる吉野千明と
中井貴一さん演じる長倉和平の、
絶妙にポンポンやり合う会話にハマってしまいまして、
一昨年、知人で評論家の宇野常寛さんと、
彼がTwitterで集めた初対面の仲間達と一緒に、
鎌倉ロケ地巡りまでしちゃったくらいなのです。(笑)
しかもちょうどEテレで
宇野さんのドキュメンタリー番組を制作中で、
軽くテレビカメラも同行してたんですけど、
私も何気にチラチラ写り込んでいたもので、
何も知らずに見ていた友達何人かから、
「びっくりしたぁーー!」ってツッコミメールをもらいました。^ ^;
しかもしかも、ちょうど極楽寺駅近辺にいた時に
宇野さんの携帯電話がなって、
出てみたらなんと脚本家の岡田惠和さん!だったものだから、
あまりの神なタイミングに一同大興奮。
宇野さんもハイテンションで
「実は今、鎌倉にいるんですよ〜!」って。
あの流れ、面白かったなぁ。
男女七人夏物語かよっ?!の図。笑 私の隣が、宇野さん。 |
「あまちゃん」の時も書きましたが、
私は「許されている」物語が好きなんですね。
このドラマも、クセのある登場人物ばっかりで、
常識で言ったら「おい!」ってとこ満載なんだけど、
みーんな、なんやかんや言っても、
そのままで、許されてる。
その寛容さが、とっても心地いい。
ドラマだから設定はファンタジーな要素もあるけど、
台詞はとにかくリアルで、共感しまくれます。
20代の人が見たらどう思うのかは分からないけど、
30代ならそれなりに、40代ならドンピシャで、
グッと来るんじゃないかなぁと。
私はこのドラマなら、何度でも見れます。(笑)
長倉家と千明宅のロケ地♥ |
例えば、印象的なシーンのひとつ。
長倉家の長男が中井さんで、飯島直子さん、
坂口憲二さん、内田有紀さんと4人兄弟の設定なんですけど、
内田有紀さん演じる万理子が元ひきこもりで、前作で、
千明との出会いがきっかけで外に出てきて、
千明の勤めるテレビ局で現場スタッフとして働き始めてる役なんですね。
そんな万理子に大抜擢なお仕事が舞い込み、
まわりは「すごーーい!」となるんですが、
落ち込んでまた部屋に引きこもる彼女が言う台詞があります。
「私は今が幸せなのです。
今より大きい世界へ行きたいなどとみじんも思っておりません。
むしろ行きたくないのです。
不安だからとか、自信がないから本当は行きたいのに行かないとか、
そういうことではないんです。<中略>
端から見たら小さな世界で満足して向上心のない人間
に見えるのかもしれませんが、この幸せから、やはり、
出て行かないといけないのでしょうか。
違う世界に飛び出すことより、今いるこの世界で頑張ることの方が、
私には、幸せなんです。」
それに返事する千明。
「そっか。そうだよね。。ごめん、万理子。
ほら私さ、常に全速力で走っちゃうタイプだからさ。
人はそれぞれ、自分のペースで前に進めばいいんだよね。
しかも、世界に大きいも小さいもないわ。」
その夜、千明と和平が二人で飲みながら語り合う場面。
千明の台詞。
「まあ最近、人に頼られるようなことも増えて、
つい分かったようなことを言っちゃうんですよねぇ。
なんかもう年寄りの説教みたいな。
偉そうで、自分がもうやんなっちゃうんですよ。
今日よく分かりましたよ。ちっとも分かってない、私。
人の気持ちは複雑で、うん、本当に、人それぞれなんですよね。
人の数だけ、幸せの形がある。。
ねぇ〜。まだまだですよねぇ〜…。」
応える和平の台詞。
「私が言うのも何なんですけど、こんなふうに考えてみませんかね。
まだまだは、いいことだって。
この年になってもまだまだってことはね、
伸びシロがあるってことなんじゃないかなぁって思うんですよ。
<中略>
まだまだ分からないことだらけ。探してるものだらけ。
なんかその方が、前に進めるっていうか、
この先、もうちょっと成長できるっていう感じしません?
…でもまだまだなのに、残された時間はどんどん少なくなっていく。
やれやれですよ。」
笑って話しながら、二人の〆のやりとり。
千明「…面白いなぁと思って。
いやぁ、年をとるのも、面白いなぁと思って!
分からなかったことが分かるようになって、
で、分かった!と思ったことがまた分からなくなったりして。
(笑)まだまだですね、私たち。」
和平「そうですねぇ。。やれやれです。」
千明「やれやれですね。」
和平「乾杯しますか。やれやれに。」
千明「乾杯!やれやれに。(笑)」
…なんともねぇ、いちいち、いいんですよ。
なんか、あったかいんですよ。
見ている人には分かる、あの神社。笑 |
私もですね、会社で後輩に何か言う時もそうでしたけど、
こういうお仕事をさせていただいていると、
皆さんにあれこれお話しながらも、
「自分、エラそうだなぁ〜…」ってね、思うこと、よくあるんです。
私も「まだまだ」だし、「やれやれ」なこともいっぱいなので、
いつも「分かったつもり」にならないように、
気をつけるように、心がけています。
自分の思う幸せのカタチが、
人にも当てはまるとは限らないですからね。
押し付けたくはない。
その人の思う幸せのカタチを見つけて、
そこに近づけるようにお手伝いできたら、それが一番かなぁ。
日々、私もお客さんと一緒に成長させてもらってます。本当に。
カフェナガクラのモデルになったカフェ。 賑わってましたよ〜。 |
最終回の千明のモノローグに、
脚本家の岡田さんがこのドラマで伝えたかったことが
つまっているような気がしたので、ここに書き出させていただきますね。
「人が大人になるということは、
それだけ多くの選択をしてきたということだ。
何かを選ぶということは、
その分、違う何かを失うことで、
大人になって何かを掴んだ喜びは、
ここまでやったという思いと、
ここまでしかやれなかったという思いを、
同時に思い知ることでもある。
でも、その掴んだ何かが例え小さくとも、
確実にここにあるのだとしたら、
掴んだ自分に誇りを持とう。
勇気を出して何かを選んだ、過去の自分を褒めてやろう。
よくがんばって生きて来た。そう、言ってやろう。
そして、これからを夢見よう。
世界を嘆くのではなく、世界を信じるんだ。
私だって、その世界の一員なのだから。
48歳の若造は、今、そんなふうに思う。
人生とは、自分の未来に恋をすること。
一人でするのがつまらなければ、
誰かと一緒に、未来に恋をしよう。
友であれ、恋人であれ、夫婦であれ、家族であれ。
隣に気の合う誰かがいてくれさえすれば、
人生はさらに、ファンキーになるはずだ。」
私も、ファンキーに、生きるぞぉ!っと。
まぁ、すでに結構ファンキーな方ですけどね。たぶん。(笑)
エンディングテーマが
クレイジー・ケン・バンドの横山剣さんが手がけた「T字路」で、
小泉さんと中井さんがデュエットしてるのが、またいいんですよぉぉ。
「大人げないままこ〜んな 大人になりました♪」
で始まる歌詞。
私のまわりの大人な友達はみんな、
自分のことをそう思ってる気がします。(笑)
気づけばいい大人じゃん!っていうね。
のけぞりたくなる感じ?
悲哀。哀愁。滑稽さ。
「四十にして惑わず」っていうけど、思いっきり惑ってるじゃん!ってね。
それもいいんですよ。
もう、まるっと全部、肯定しちゃいましょうよ。
それも人生ですよ。
って、そんなふうに、この歌もドラマも、
包みこんでくれる包容力があるんですよねぇ。
前にブログにも書きましたが(→こちら)、
小泉さんの本「人生らしいね」ってタイトル、そのまま、
このドラマにも当てはまるなぁと思います。
そう、人生らしい。
皆さんもよかったら、DVDでも見てみて下さいませ〜。