お待たせ致しました!
あっという間にインドのラダックから帰国して一ヶ月以上がたってしまいましたが、ぼちぼち、項目を分けながら、滞在記をUPしていきたいと思います。
第一弾は、なんといってもカーラチャクラについて。
1954年に第1回目が開催され、今回はなんと第33回目でした。私は会場に行ってから知ったんですが、33は私にとって縁の深い数字なので、「来るべくして来たのかな」と思わず思ってしまいましたねぇ。
そもそもカーラチャクラは何かというと、ざっくり言うなら、「他のものの幸福のために最高の悟りを達成するべく受けるイニシエーション(儀式)」です。しかもチベット密教においてそれは「鈍行」ではなく「超特急」な秘儀とされているにもかかわらず、修行僧だけでなく一般に開かれているという、特別なもの。ただし、自分のためとか、徳を積むためとかでは、動機として正しくはありません。常に「他のもののために悟りを目指す心」(菩提心)と「空を認識する意識」(智慧)を心に留めることが求められます。その辺の理解も当然必要なので、カーラチャクラの儀式に入る前にたっぷり3日間、ダライ・ラマ法王による前行法話もありました。
「どうだった?」と聞かれて分かりやすい例えを出すなら、
「夏フェス!」です。(笑)
苗場の山々の代わりにヒマラヤ山脈。
アーティストの代わりにダライ・ラマ法王。
ライブの代わりに法話と儀式…。
バチ当たりな例えかもしれませんが、その光景はなにせ夏フェスが一番近いんですよねぇ。。
ついでに3500mの高地な上に乾燥していて日差しが強い。
ライブみたいに動けず、じっとしていなきゃいけない。
炎天下で何時間も。
これ、まさに修行です。。
朝の6時で入り口付近はもうこの行列 |
最終日に、来場者は計15万人、うち外国人は8000人、と放送があったんですが、公式ホームページを見たところ(☞こちら)、来場者は計107,808人となってました。7/3〜14までの開催期間中の合計です。ただ、参加には登録が必須なんですが、登録しないで会場の外の道路で参加していたチベット人もたくさんいたので、そういう人達も含めると15万人くらいいたような気もします。^ ^;
空港並みのパスポート、セキュリティチェックあり。 男女別で、やはり女性側は混雑。 そこを抜けるとこんな感じで、資料の本などを無料でもらえます。 |
ちなみに今回のカーラチャクラのスケジュールはこんな感じ。
7/3(木)準備儀式:祈祷など
7/4(金)準備儀式:祈祷、地鎮祭など
7/5(土)準備儀式:祈祷など
7/6(日)ダライ・ラマ法王79歳のお誕生日の祝賀祭
前行法話:ナーガールジュナ(龍樹)「友人への手紙」
7/7(月)前行法話:ナーガールジュナ(龍樹)「友人への手紙」
7/8(火)前行法話:ナーガールジュナ(龍樹)「友人への手紙」
7/9(水)宗教舞踏:僧侶による仮面舞踏
7/10(木)準備儀式
7/11(金)カーラチャクラ灌頂伝授
7/12(土)カーラチャクラ灌頂伝授
7/13(日)長寿灌頂伝授と法王ご長寿祈願
白ターラの長寿灌頂伝授
7/14(月)〜16(水)砂曼荼羅公開
会場はVIP、高僧、僧侶、外国人、一般に分かれていて、 ここは僧侶エリア。 |
結構直前に変更になったりしていたので、あくまで予定は予定だと思っておいた方がいい感じです。カーラチャクラ灌頂伝授は3日間かかるはずでしたが、最終的には2日間に圧縮されていました。なので、すごい勢いで進んでいきました。(笑)
その代わりかは分かりませんが、やる時とやらない時があるという、「白ターラの長寿灌頂伝授」まで今回はやって下さいました。前にブログに書きましたが(☞こちら)うちには以前チベットで買った白ターラのタンカが飾ってあるので、私は白ターラってだけでもう十分なんだか嬉しかったんです。それが、カーラチャクラ2度目参加なマニアな方が言うには、「これをやってくれるなんて、今回のカーラチャクラは法王にとっても特別だったに違いない」ってくらい、貴重な機会だったようで、ラッキーとしか言いようがありません。
法王はここからお話されます。 |
私は7/6〜13まで会場に通ったんですが、初日は少しでも法王を近くで見れたらと、前の方に座って聞かせていただきました。
でもねぇ、場所取り合戦てば、すんごいんですよ。。
みんな前日に名前書いたマットとか置いて陣取りしてるんですが、もう平気で剥がされて取られたりしちゃうんですね。。だから、8時から法話が始まるとしても、場所取りのために6時前には着いてないとだめな感じなんです。
で、なんとか座れてたのに、なぜか途中から来た、見るからにお金持ちそうなモンゴル人が「どいて!ここは私たちの場所よ!」ってグイグイ割り込んで来たんですよねぇ。カーラチャクラなのに…。法王がそこで「菩提心」「慈悲」について説いているというのに…。すっかり萎えた私は、翌日からはもっと後ろの方に座ることにしたのでした。。そっちの方が、ずっと平和でよかったですよ〜。前では、その後も日本人vsモンゴル人対決が続いていた模様… ^ ^;
なんかねぇ、もう、縮図ですよね。
エゴってやつは…。
学びはいつでも、そこら中に転がっております。。
でもね、帰りの空港でばったり、バトルしたおじさん二人が鉢合わせてましたが、ちゃんと握手して笑顔で和解してましたよ〜。最終的には。さすがカーラチャクラ。(笑)
ちなみにリチャード・ギアも来ていて、挨拶してました。 見えるかな〜。 |
一応、モニターに写ってるのも撮っておきました。(笑) |
法王は毎朝、途中で車を降りてメインステージまで歩いてくれるんですが、その道中は出待ちの人でごったがえしてるんです。うまくいけば握手できますし、祝福してもらえるかもしれないですしね。チベット人にとっては生き神様なわけですから、そりゃあ当然のこと。
それはともかくとして、日本だったら動線としてありえないと思うんですが、そこはインドなので、これまたなぜかトイレがですね、その道の向こうにあるんですねぇ〜。なので、法王がそこを通る少し前にトイレに行こうものなら、もう戻れない… 法王が通り過ぎるまで、そこで待つしかないわけです。
私も一度これにハマりましたが、さっさと諦めて、逆にこれを機会と逆手に取り、トイレ前だけど、出待ちに加わることにした次第。
そしたら面白かったです。
ただの白人のおじいさんかと思いきや、リチャード・ギアもそこを通ったんですね。でもここにいる皆のお目当てはあくまでもダライ・ラマ法王。なので、全然キャー!とかないんです。びっくり。誰かが「ハーイ!リチャード」と軽く声をかけたおかげで私も気がつきましたが、気づかないところでした。。
途中で気がついたのでカメラ追いつかず。でも ここにはリチャードの後ろ姿が写っております。 分かるかな〜。 |
この後、楽隊を伴って法王が登場するんですが、これまたラッキーなことに間近でiPhoneで映像が撮れました。トイレ万歳。(笑)しかも、隣にいた女性が「タシデレー!」と声をかけたのに反応して、こっちを向いてご挨拶してくれたんです!!わーい。その時の映像のスクリーンショットがこちら。↓
この時は、後日まさか謁見できるとも、今年2度目の握手ができるとも思ってなかったですから、これだけでもかなり幸せな気持ちになりました。映像は、お話会をやる時にでもお見せしたいなと思ってます。
外国人席には一応こんな日よけはあったんですが、 実際にはほとんど意味なし。。 ラダックの日差しの強さはハンパないです。 |
みんな日よけの下ですら傘をさしていることからも、 その暑さは想像できるかと。。 |
むしろ日よけのない一般席の方が風が通って涼しい という話も。。 |
夏フェスと違うのは、年齢層の幅広さ。(笑) 赤ちゃんからお爺ちゃんお婆ちゃんまで。 みんなすごい体力!! |
言葉はどうしたのか?って質問もよくされます。
法王はチベット語ですからね。
来場者には当然ラダックの人が多いので、ラダック語だけは逐次通訳がつきます。その他の言語に関しては、同時通訳がしっかり13カ国分も用意されていました。それをどうやって聞くかというと、みんなFMラジオを持参するんです。それで、日本語なら日本語の通訳が流れる周波数に合わせて聞きます。その辺はよくできてるんですよ〜。
ただ、法王はものすごい早さで話しますし、内容は仏教の専門用語もたくさん出てくるようなものですから、普通の通訳者じゃムリ。仏教の知識もチベット密教の知識も要求される、これを同時通訳できるなんて、通訳さんすごいな〜といちいち感心してしまいました。プロなら当たり前なのでしょうけど。
チベット密教って、お釈迦様が伝えた本来の仏教ってものを、今に一番色濃く残しているそうなんです。そして、それを学ぶにはチベット語が必須。言葉が変わるとニュアンスが変わってしまいますからね。だから本来の仏教について知りたかったら、チベット語を学ぶべきだ、と法王はおっしゃいます。興味はあるけど… 難し過ぎる〜〜。
あと、昼食は毎日お弁当を持っていってました。
ホームステイ先で作ってもらったチーズだけはさんだサンドイッチとか。チベット風の焼きそばとか。かなり質素。暑いのでそんなに食欲もわかないからちょうどいいんですけど。生ものは無理ですしね。
しかし滞在中、ほとんど野菜とフルーツをとれなかったのが、辛かったなぁ。
会場から少し歩くと露天が並ぶ道もあるので、その辺のレストランで食べる人達ももちろんたくさんいました。ただ、これだけの人数がどっと動くので、混みます。そこで下手にエネルギーを消費したくもないので、お弁当が無難かな、という感じですかね。
夏フェスと一緒で、それなりの数の簡易トイレが用意されてはいます。
和式と洋式と。
まあでも、一日でかなり汚いことにはなってました。
和式の方はバケツに水を汲んで流す習慣があるので、まだマシではありましたが。この期間中、どれだけの数の人のウ○チを見たことか…。^ ^;
で、日本だったら臭かったら少しの間がんばって息を止めてみたり、するじゃないですか? いやぁ、、高地なことを忘れてここでそれをやってみたら、、、あっという間に頭が痛くなりました。。故に、嗅ぐしかない。息を止めたら高山病。オーマイゴット。
会場では、固いパンとか(おいしくはない)、
バター茶とか(私はチベットに行った時から苦手)、
チャイとか(これがやっぱり王道)、
無料で配ってくれます。
このためにみんな、プラスチックのカップや水筒を持参してるんです。エコですね。
でも、これだけ暑いのに、熱いバター茶とチャイ。。
汗、かきますよ〜。
おかげで、水分いっぱいとってもトイレは3時間に1回とかですみます。(笑)
カーラチャクラには砂曼荼羅が必須で、これなしでは儀式が成り立ちません。僧侶たちが、これだけ細かい曼荼羅をコツコツと砂で描くんです。私も今までチベットや日本でも見たことがあるんですが、本当に精妙、繊細。そしてチベット密教では、儀式が終わると砂曼荼羅を必ず壊します。「執着しない」教えですからね。どんなに時間と労力をかけて作り上げたものでも、いずれは壊れるもの。「せっかく作ったのに」「もったいない」って考えるようでは、執着を手放せていないというわけです。
儀式が全て終わってから、3日間だけ砂曼荼羅のパブリックビューイングがあったんですが、すごい行列でした。3時間はかかりそうな。でも、外国人は申し訳ないけどありがたいことに特別待遇があって、20分くらいで見せてもらうことができました。ほんの一瞬、ですけどね。あれだけの人をさばかないといけないので、どんどん「先へ行け!」「立ち止まるな!」って追いやられてしまうんです。肉眼で見るか写真撮るか、どっちか選べ!ってスピードで、私はカメラをとって写したのがこれ↑です。綺麗でしょう?
まだまだ書きたいことはあるんですが、すでに長くなってしまったのでまた「その2」に続くってことで。とりあえず、ざっとカーラチャクラ概観、でした。