久しぶりに友達の上村汀さんに会いに、彼女のお父さんで漫画家の上村一夫氏の原画展「花の輪廻」@神楽坂artdishに行ってきました。
以前artdishで開催された原画展はポップでキッチュな感じだったんですが、今回は…禁断のエロスの世界!ただのエロスじゃないです。完全に禁断です。 なので、癒しとは対局にありそうなものをここで紹介するのはどうなのか…?と思わなくもなかったんですが、あえて紹介させていただきます。
上村一夫さんと言えば「同棲時代」が有名ですが、タランティーノ監督が「キル・ビル」の中でオマージュを捧げている「修羅雪姫」や、まだ作詞を手がけ始めたばかりの頃の阿久悠さんとのコラボレーションも知る人ぞ知るところ。
1975年の作品「悪の華」(原作:岡崎英生)も去年復刻されているんですが、今回はその原画を中心に、演出家の久世光彦さんに送った究極の1枚も特別公開されています。原画からにじみ出て来る「女の念」みたいなものもすごい迫力なんですが、テーブルに置いてあった「悪の華」を初めて読んでみて、久々に脳みそがおかしくなりました。(笑)
ATGの映画作品なんかを見慣れているタイプの人なら大丈夫かもしれない。70年代独特のアンダーグラウンド感というか、エロ・グロの世界観も決して嫌いではない、という人であれば。
私は昔見た映画で、安部公房原作・勅使河原宏監督の「他人の顔」とか、江戸川乱歩原作・増村保造監督の「盲獣」とかを、思い出しました。見たことのある人なら「あぁ、あの感じね」と想像していただけるのではないかと。私でも、場面によってはちょっと吐き気がしたくらいで、人間の狂気への迫り方が尋常ではないので、「皆さんも是非読んでみて下さい」と無責任に言うことはできないし、正直、とても万人にはお勧めできません…。
でもですね、光と闇とか、善と悪とか、正しいとか間違ってるとか、
そうやって人や物事をはっきりくっきり2つに分けることって、
本当にできるのかなぁ?とも思うわけです。
そこのボーダーラインって、曖昧ですよね、きっと。
人間の闇の部分にフォーカスした作品の持つ怖さって、ストーリーそのもの以上にむしろ、「自分にももしかしたらそういう部分があるのかもしれない」っていう気づきにあるんじゃないか、というか。
綺麗ごとばかり並べても、嘘っぽく聞こえてしまうでしょう?
光から闇を見ることも、闇から光を見ることも、どちらも必要な気がします。そうじゃないと、許せなくなるし、受け入れられなくなる。きっと大抵の人は、光と闇を行ったり来たりしながら、曖昧なラインの上でバランスをとっているんじゃないでしょうか。そうしているうちに、そのラインは溶けてなくなって、いつか二元論の世界に終わりがきたら、世の中、もっと平和になっていそうですね。
漫画はエンターテインメントでもありますから、誇張したり大げさに表現したりするところはもちろんありますが、その表現の向こうにある本質、を見据えることのできる自分でありたいなと思います。
4/21(日)まで開催中。
3/31(日)には一日限りの「BAR離婚倶楽部」が開店。「須藤ちゃんも手伝って〜」と言われてますので、私は結婚も離婚もしたことありませんが、たぶんいます。(笑)
4/7(日)には渚ようこさんのライブも開催予定。
詳しい情報はこちら。
関西の方は、京都の恵文社で4/8(月)までやっているこちらをどうぞ。